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「カガク、ロボットが出たようだぞ、さっきの番組も悪野さんが出るまで大騒ぎだったんだ」
雑談の端で、父親がカガクにそう話しかけてきた。 「ごちそうさま」
食べ終わり、行ってきますと外に出ると、涼しい風が流れて行った。 「ブヒイ!」 まず駆け寄ってきたのが、ボサボサ頭の大きな少年、桃川である。 「瑠璃川さん!ロボット王国のコスプレイヤーだって本当ですか!」 何でそんなことになってるの、カガクはさすがに頭を抱えた。 「瑠璃川さん!大丈夫です!僕が付いてます!瑠璃川さんをロボットの国なんかに連れて行かせません!」 「いや、桃川、ちょっと黙っててくれる?」
手で桃川を制し、頭を上げると、そこにはコスモスの花があった。 「大丈夫かい?瑠璃川さん、昨日ロボットの近くに君がいたとかで、少し噂になっているようんだんだ、無理はしない方がいい、少し保健室で休むのも……」
塔木はいつも通りのぽやっとした顔で、カガクを心配そうに覗き込んでいた。 「瑠璃川さん?」
不思議そうな顔をする塔木を、カガクは凝視する。 『花の国の王子とクランシオーネさまは恋人だったです!きっと転生しても結ばれるです!』
ふいに昨日ミラクルくんが残して行った台詞が頭をよぎる。 『花の国の王子は最後にクランシオーネさまに、自分だと分かるように印を持って生まれ変わるって言ってたです!』
カガクはミラクルくんの言葉を振り払うように顔を振る。 「塔木先生、大丈夫です、そんなに私はヤワではありません、でたらめな噂なんてねじ伏せてあげますよ、では」
さっそうと歩き出した。 「桃川!」
カガクは歩きながら桃川を呼ぶ。 「ブヒイ言うな!あんた!私に付いて来たい?」 桃川はしばらく意味が分からずぼんやりとカガクを見ていた。 「私に一生付いて来たい?って言ってるのよ!」 少しの時間の後、ようやく意味の分かった桃川が、顔を真っ赤にさせて大きな声で言った。
「付いて行きます!」 桃川は、両手を握って夢見る乙女ポーズをすると、 「ブヒイ!」 と大きく返事をした。 「ブヒイ言うな!」
嬉しそうな桃川を後ろに従えながら、カガクは考えていた。
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