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昨日までの曇天が嘘のように晴れ渡った空は爽やかそのものだった。 俺達は、どこまでも果てしなく続いているように見える行列に並び、その先の一分にも満たないお参りへと向かっていた。 のろのろと動く行列も、三〇分も立てばそれなりに進んでいた訳で。 「ねえ、みちるは今頃後始末?」 昨日の汚れは何処へやら、すっかり綺麗サッパリになった湖春先輩は、やはりと言うか結局来なかったみちるのことを訪ねてきた。
「まあ、そうみたいですよ、今日は豪華なおせち料理が来るって言ってたのに、どこまでも残念な奴ですよ」 歩もホッカイロで手を温めながらそれに賛同する。 「ハハッ!一年組はみちるに辛辣だな」
明地先輩は一番先頭でやはりホッカイロをさすっている、湖春先輩からもらった物で、俺もさっきからポケットの中で手を温めていた。 「みちるくんは、いつか家族とでも来ればいいよ!あのお爺さんも一緒に!」
ミカ先輩の言葉に、歩と俺はカイロをさする手が止まった。 「お、順番が回ってきたぞ」
明地先輩が前を指さす、いつの間にか行列の先頭に立っていたらしい。 (今年こそデビューできますように)
皆同じだろう願いをかけると、次の人へと横に流れた。 「あ、あいつからだ」 着信者みちる、そう記されたスマフォのメールを開くと、そこには一通こういうメール内容届いていた、 『たすけてくれおせちりょうりが』
……俺は見なかったことにしてスマフォの画面を閉じた。
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