・1022年2月
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「私の子が来たよ」
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「素直だ、よろしくな」
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「?」
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「あんたが当主?」
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「ちがうよ」
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「何だ、一番それっぽく見えたのに」
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「そりゃどうもな」
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「先に言う、俺は弱い」
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「……」
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「俺の弱さを補ってもらうために、あんたに頼んだ」
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「その言葉、あなたより弱きものたちがいることを知っていてなお言いますか?」
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「……うん」
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「自分の弱さを知る者はのびしろがあるんですよ(ニコリ」
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「……」
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「お手なみ、拝見いたしましょう」
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・1022年3月

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「雨だー!」
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「雨宿りしようか?」
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「何やってるんだい佐和、空を仰いで雨に打たれるなんて、濡れるよ」
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「なんだかね、こうやってると……」
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「……こうやってると?」
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「かっこよく見えるだろ?(ウィンク」
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「はいはい」
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「こいつ……、固い!」
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「考えるに、あの姿勢で動き回って筋肉がついたんじゃないでしょうか!」
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「うん、うん、分かった、分かった」
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「ええい!叩いてダメなら!」
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「燃やせー!」
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・1022年4月
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「勇敢そうな男のお子様が来ましたよ」
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「……どうも」
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「よろしくー」
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「靖国さん、好きな食べ物はなんですか?」
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「……高野豆腐」
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「好きな人は?」
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「まだ早いよ節さん」
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「ナマイキそうな奴だなー」
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「あんたほどじゃないと思いたいけどね」
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「これが家族だ、どうだ?」
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「やかましい……」
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「俺の初舞台だぜ!」
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「張り切ってるなー」
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「怪我しないようにね」
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「いってえー!怪我したー!」
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「うわあ!これはヤバイ!」
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「これはヤバイの一歩手前って感じ!」
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「むしろよく持った」
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「なんか知らないけど褒められてる俺?!」
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「褒めてはないな」
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~帰宅後、向日町家にて~
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「はは、なんか体調悪いと思ってたんですよね、もうそろそろだと思ってましたよ」
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「佐知子……」
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「うん、大丈夫です、痛いけど、怖くない……だって……」
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